2014-08-03から1日間の記事一覧

敵を知る

「敵を知り,己れを知る」ことの重要性は,戦略家孫すが述べているが,スピーチの兵法にもいえることである。スピーカーが,潜在的敵である聴衆との相対的力関係を知らなければ, ethosは確立されないのである。 スピーすをする前に,自分の強さと弱さをク…

スピーチの英語

敵としての聴衆 説得術はセールスマンシップに通じることはすでに述べたが,パブリック・スピーキングも一種の自己セールス・F一クにつながるのではないかと思う。 説得者(the persuader)は,聴衆を顧客と見立てて何かを売るわけであるが,パブリック・…

パトスとロゴス

「パトス」:いくらethosがあっても聴衆の情熱を喚起させ,そのエネルギーを特定の方向に向けさせるには, pathosという動機づけのファクターが必要となる。 カリスマ的人物とは, ethosとpathosを兼ねそなえている人のことであろう。同じカリスマといっても …

話し手への信頼感

アドラー氏白身がセールス・トークの名人なのだ。 では,アドラー氏が,聴衆に売りたかったアイディアである3点について述べてみよう。「エトス」:スピーカーのcharacter。つまり人となりである。スピーカーに信頼感や誠実さが 感じられないようでは聴衆は…

本当に聞きたいのは一点だけ

ところが,読者は英語でインタビューする方法に関心を持っておられる。それなら,外国人をインタビューするに当り基本的なことだけを述べておこう。 1. まず準備すること。 準備せ寸に飛び込みインタビューをすることは非礼とみなされる。テーマに関しては,…

インタビューの英語

真実とは痛いもの インタビューの仕事が大好きなのは,学べるということだ。またジャーナリス}という面をかぶると,どんな立場の人でもインタビューができるという強味がある。まさにペンは武器 である。ところが,ジャーナリスティック・インタビューは恐…

英語修行の原点

外人ハントから得るもの 私の英会話修行はガイジンハントから始まった。外人ハンドこよりネイティヴの英語を学ぶことは自分がこれまで学んだ英語が使えるかどうかを実践の場で試すことである。 背の立つ温水プールで学んだ泳ぎ方では,本当に泳げるのであろ…

身体から学ぶホワイ・ビコーズ体操

アメリカ人に,日本文化を英語で伝える時に,私はよく次のような思い切った解説をする。環境を変える気構え 古典英語でなきゃいやだという読者には,アーネスト・ヘミングウェイの“The old Man and the Sea” の冒頭文などが音読するにふさわしい教材にな…

英語のリズム

人と人が対峙する時,そこには必ずリズムが生じる。闘いの中にもリズムがあるのと同じように,相対する英語の両コミュニケーターの中にもリズムが生じる。英語固有のリズムに関 してはこれまで前著『「FEN」を聴く』で述べてきたので省き,リズムの育て方…

英語のスピード

外国のテレビを観ていて感じることは,あれほど日本のことが毎日のように新聞を賑わし,週刊誌,本やテレビで紹介されるのに,日本人がテレビの画面に登場しないことである。ア メリカで今話題の映画『ガン・ホー』に登場するアッサン(日産をもじったもの)…

英語のパワー

英語を話す場合に,まず問われるのは内容である。よほどひどい発音でない限り,日本人の英語はけっこう通じる。問題は,何を話すのか,という“内容”である。単語が足りないか ら,と尻込みする日本人も多いが,外国人と1対1贈対面したりして問われるのは,…

達人の英語

英語は私にとり,習得すべき外国語のみならず,武器である。自分を知的武装するための武器である。斬らねば斬られるわけであるから,ぶっそうである。「斬る」とはto communicate の意味である。「あなたの英語じゃまだ斬れませんよ」と私が言う時, Your Eng…

幼児との戦い

Jerome Bruner博士は,幼児教育のためのアメリカの母親の基本的なスピーチ・パターンとして,次の4つを挙げている。 1. Attentions] Vocative (人の注意を喚起するための呼格) 2. Query (質問) 3. Label (呼称) 4. Feedback その基本的な会話はこうなる…

日本の学生は英会話で3歳児のネイティブに勝てない

3年目。 赤ちゃんになった読者はこれで3年目に入る。だが,まだlとrの発音の区別がつかない。 アメリカの赤ちゃんもまだ発音がおそまつでいい勝負。 th がfに変わり, withがwifとなり, driverのrが発音できずdwiverとなったり, blackのlが発音できずbw…

10年分を1ヵ月でマスター

さて,ここで読者も生後数カ月の赤ちゃんのような気持になっていただこう。 生後三ヵ月のあなたは,腹が空いて,泣く。 「ママがきたわよ。はいおっぱい」と母が近づいてふくよかな胸を出す。 赤ん坊だから,まあむき出しのおっぱいなんてと,恥ずかしがらな…

幼児は使うために言葉を学ぶ

新幹線の英語ではWe will soon arrive at Nagoya. だし・日航の機内放送も・We will soon make a stop at‥。という調すだが,外国の機内放送ではWe'll be ar-rivmg…と進行形に なっている。 もしこのネイティヴ英語のリズムで放送されれば,グループ・ツアー…

英語は音声から始めるべきである

聴く方が先-これはあくまで理想論であり,日本ではまだ日常会話レベルのネイティヴの音は入らない。ラジオやテレビ講座といった人為的なガイジンエイゴしか聞けない地方の日本人 は気の毒である。人為的なガイジンエイゴとは,放送局の逆鱗に触れるのが恐ろ…

思いきって赤ん坊になる

「文章には意味があり,そのまま学ぶべきで,パーツに分けるべきではない。スピーカーとは言語活動においてactiveであってreactiveではない」と言う言語学者を登場させよう。「 言語を学ぶということは,比較的限られた能力の成長であり,成熟である」と喝破…

赤ん坊のクリェイティヴ・スピーキング

「中年から英語を学ぶ方法はありませんか,先生」という質問が多い。 私は「ない」と答える。更に,高校から始めても遅い,とつけ加える。 その理由は,赤ん坊のようになれないからである。 大人になり,社会的地位が高くなればなるほど,リスクがとれなくな…

自己主張から始まる社会

エミーのような子供たちが,小学校に入ると,まずクラスでさせられるのが, Show and tell. である。「この骨董品は,うちのおばが自慢のパイプで,メイフラワー号の……」という 調すで,クラスメイトに見せながら,語るのである。自己主張を鼓舞する社会であ…

三流の英語どまり

こう考えると,幼少の頃からネイティヴのリズムに馴染んで育った子供の英語は恐ろしい。 だが,その子供たちでもアメリカの小学校では,筆記試験ならまだしもスピーキングにおいてはネイティヴに勝てないのだ。 「おたくの息すさんは,筆記試験はまあまあな…

子供にも同じ論理で

日本の一流のTVインタビューアーが,ネイティヴに向ってHow do you think of it? (Whatが正しいのだが)を繰り返しているのを,画面を通して耳にしていると,哀れになる 。 How do you think of(feelaboutならいいが)~?と質問しても,…

否定は「ンンノウー」

かつて私の教え子であった,ニューヨーク駐在員(銀行マン)に幼稚園児がいる。ニューヨーク勤務になってから3年経った後の子供の英会話能力はどのていどだろうかと考え,時々英 語で話しかける。「君は,家では両親と日本語で話をしているそうだが,日本語と…

ユダヤ英語に挑戦する

では黒帯英語でユダヤ人に挑もう。 “Why do the Jews answer with why?” “Why shouldn't the Jews answe「with why?” これでも歯が立たない。だがこれもユーモアのつもりである。 アメリカ大使館に勤務していた頃,あるユダヤ人の通訳をしながら地方巡業を…

言語の天才,ユダヤ人

それにしても私が会った多くの外国人の中でもユダヤ人のユーモアが最も不可解という人が多い。その理由はユダヤ人の言語駆使能力と関係があるという。` とにかく,ヨーロッパでは90%以上が文盲であった時,イディッシュ語,ヘブライ語とその土地の言語(n…

英米のユーモアの差

英語の概念をシンボルとして捉えるために,私はなんとなく意味がわかっているつもりでも,英英辞典を用いて確かめることがある。更に慎重に,イギリスの英英辞典とアメリカのそ れを併用しながら微妙なニュアンスの違いを感じとることがある。そして,どちら…

日常会話のロジック

ここまでのステップを通らねば,そう筒単に容疑者(suspect)を犯人呼ばわりしてはいけない。 ところが,その場の“空気”で勁く日本では,なんとなく犯人だと思えば,容疑者の段 階から,サン抜きで犯人呼ばわりしてしまう。平気で「やらせ」番組をさせるテレビ…

ロジックとはreasoningのことである。 reasoningには,帰納(induction)と演繹(deduclion)の2通りがある。 前者で最も知られているのは, 1941年,アメリカが日本に対し宣戦布告するための,ルーズベルト大統領の議会でのスピーチであ…

5. Because authorities say so. スピーチでは,「私の経験によれば」と自己の経験を語ることで充分だが,ディベー1ヽでは,この権威筋の見解が重要証拠となる。討論の内容が専門的になればなるほど,権威者の発 言が重要性を増すことになる。 6. Because co…

ホワイービコーズ・ロジック

日本人のスピーチを聞いていると, why-becauseのr,シックの欠けるものが多い。 日本の新聞の社説を読んでいても意見と主張が多いだけで, reasonが少ない。 つまりbecause以下がないのである。 why-becauseというロジックの骨がない限り,いくら高度な英語…