2014-08-16から1日間の記事一覧

マグンは、感見神経路を上行する感覚のイングルスそのものが。大脳皮質の活動を支えている(賦活)のではなく、網様体から大脳皮質全体へいっている別の神経路が意識の水準を支えているという。すなわち、網様体の恬動か盛んになると、意識の水準があかって…

意識を支える仕組み

いまさら、意識とはなにかと詮議だてしてもはじまらない。ある学者は、十六の項目をあげ、各項目にかなっているときに、その人には意識があると判定できるといっているくらいだ から。 アメリカの神経学者は、「自分の周囲のことと自分自身のことがわかって…

夢の仕組み

白昼夢ということがあるが、普通、夢は眠りのなかの精神現象である。そのために、夢にまつわる議論ははてしがない。 サン・ドウニのように、眠りには、必ず夢が伴なうと主張する人心あれば、ローマの暴君ネロのように、自分は一度も夢をみたことがないという…

眠りのと精神的身体的変化

ポリグラフの一例である。このグラフにも示されているが眠っているときには精神的。身体的にいろいろな変化がおこる。 まず、意識の水準がさがり、高等な精神活動も本能的な心の動きもなくなる。なお、斜線で示してあるところは、あとで説明する賦活睡眠(逆…

眠り、夢みる脳

第二次大戦中、アメリカで、数百人の兵士が参加した大がかりの断眠の実験が行なわれた。 断眠二、三日目から、いらいらしたり、記憶がわるくなったり。ひどい錯覚や幻覚がおこったりして、四日目ころには、ほとんどの者が脱落してしまったという。断眠八日と…

記銘の仕組み

それでは、これらの領域で、記銘がどんな仕組みで行なわれているか。ほかの精神活動と同じように、記銘の仕組みも、複雑な神経細胞の連鎖が作る閉回路のなかのイングルスの流れ と考えられている。そして、一つ一つのことがらの記銘には、それぞれ違っベ(タ…

記憶し、学習する脳

情報を処理する電す計算機が、おこがましくも人工頭脳、考える機械などとよばれるようになった。計算がはやくなったせいではなく、記憶装置ができたためである。 しかし、記憶ができるといっても、一つの計算が終ったらご破算しないと、次の計算にかかれない…

内臓を監視する大脳辺縁系

これまでは、視床下部が自律神経系の中枢と考えられていた。ところが近年になって、その上位にある大脳辺縁系が、実は視床下部に統御、調整的に働きかけているこ とがわかったのである。 大脳辺縁系と視床下部の線維連絡からも当然考えられることであるが、…

自律神経系の働き

内臓器官の働きは、二重支配している交感神経と副交感神経の拮抗的な働きかけによって統御されているというのが一般の通念である。実際に、心臓に分布する交感 神経が興奮すると、心臓の収縮力がまし、拍動がはやくなり、血圧があがる。反対に、副交感神経(…

自律神経系の構成

内臓王国を統率する自律神経系は、体性神経系と同じように、統合の中枢と、内臓の情報を中枢に伝える上行神経路と、そして中枢からの命令を内臓へ送る下行神経路から組立てられて いる。 上行神経路は、内臓の壁にある受容器からでる神経路であって、本質的…

内臓と内分泌を統御する脳

私たちの身体のなかには、私たちの思いどおりにならない独立国が二つある。それは内臓王国とホルモン王国である。 しかし、私たちの心の動きが、この独立国と全く没交渉だというのではない。怒ると、怒髪天をつき、顔面紅潮し、呼吸ははずみ、心臓はたかなる…

中尾の研究によると、視床下部の中央下部を刺激すると、怒りや攻撃の反応をおこし、視床下部の前部を刺激すると、恐れや逃走の反応をおこすという。この恐れや逃走の反応と、人 間の扁桃核の刺激で不安と恐怖心がおこるという観察を考えあわすと、不安や恐怖…

怒る脳

私がここで 涙がでるから悲しくなるのだ。逃げだすから恐ろしく感するのだ。とでもいおうものなら、とんでもない、と一笑にふされるに違いない。 しかし、五十年ほど以前に、ジェームズとラングの二人の心理学者が、この情動の末梢起源説なるものをまじめに…

群集欲の仕組み

最後に、群集欲であるが、飲、食の行動や性行動をより能率的に営むために、欠くことのできない欲求の心である。動物はもちろんのこと、私たち人間も、家庭、団体、社会 、国家、民族といったように、形式や規模は違うが、お互いに相寄り集って集団生活をして…

視床下部の内側部に電極をいれて剌激

次に、視床下部の内側部に電極をいれて剌激してみると、こんどは全く餌をたべなくなる。 そこで彼らは、内側部を、満腹を感する中枢と考え、外側部を空腹を感する中枢と考え、この二つを総括して、摂食中枢とよんだ。 イヌやネコやサルでも、同じ現象がおこ…

本能をうみだす脳

どんな高僧、聖人、碩学といえども、これだけはどうすることもできない。 私たちの頭のだかに、おのずとわいてくる生物的欲求の心---この心なくては、私たちはこの世に生をつなぐことができない。なぜなら、それは、個体維持と種族保存の営みを、た くま…

精神薬理学

脳の研究が、脳波の導入と応用によって非常に推進されたことは、すで述べたところであるが、大脳辺縁系の研究の発展に対する脳波の貢献もまだきわめて大きい。 ところで、旧皮質率古皮質は、同じように大脳皮質とよばれているが、新皮質との間に、細胞構築学…

大脳辺縁系

嵐も吹けば雨も降る、陸上の変転きわまりない環境のなかで、雨ニモマケズ、風ニモマケズ、たくましく生活を営むために発達しだのが、陸上の脊椎動物の前脳である。 ところで、基本的生命活動である個体維持と種族保存の営みは、水中生活では、主に味覚がその…

利き手

字をかいたり、箸をもったり、相手をなぐったりするような、片手でできる動作に普通、私たちはどちらか一方の手をきめて使う。敏捷に、しかも正確に動かすことができ(器用さ)、 そのうえ、力もよくはいるためであって、これを利き手という。 人間では、右…

利き手、利き脳

私たちは、左右の手を自由に使いわけることができるし、皮膚の感覚も、左右を感じわけている。身体の左右の筋肉や皮膚の感覚を司る運動野辛感覚野が、左右の大脳半球にふりわけ られているためである。 しかも不思議なことに、脳と身体で、支配関係が逆にな…

情動的な言葉

以上述べた言語野は新皮質にあるから、当然、知的な言葉の座と考えられる。 すると、情動的な言葉の座はとこにあるのだろうか。大脳辺縁系の皮質部分や、それと関係をもった脳幹 の部位を刺激すると、発声がおこることが動物実験でたしかめられているから、…

言葉をしゃべる脳

イヌやネコでも、いくつかの鳴き声をなきかけている。別府近郊の高崎山のサルの叫び声には32種類に区別できるという。 しかし、動物の声は、鳴き声、叫び声であって、私たち人間が話す言葉ではない。 ダーウィンの進化論を推進したへッケルは、進化の段階…

知り、喜び、意欲する脳

漱石の「草枕」の冒頭に 智に働けば角が立つ。情に掉させば流される。意地を通せば窮屈だ。兎角に人の世は住みにくい。という文句がある。私たち人間の高等な精神活動である知、情、意を、心にくいま でいいあらわして申し分がない。 ここで、知とは知覚、認…

調節の仕組み

一挙手一投足というが、どんな簡単な運動、動作でも、その根底には、複雑微調節の仕組み 妙な自動制御による調節の仕祖みがたえず働いている。この揚合、フィー ドバックされる情報のうちで、一番重要なものは、筋紡錘からでるイングルスである。この調節は…

姿勢と運動を作る脳

重力の場で生を営行人間の基本条件-それは、低姿勢であろうが高姿勢であろうが、とにかく姿勢を正すことである。 ほとんど意識していないが、私たちの姿勢は、たくさんの筋肉のたゆみなき緊張によって支えられているのである。 しかし、生をたくましく推進…

感覚する脳

目でみる、耳できく、舌で味わうという。しかし実際に感じているのは、脳の感覚野である。 また、草むらにすだく虫の音をきく、天空にまたたく星をみる、ともいう。このように、外界に、物の存在を感じるこの性質を、感覚の投射という。 ところで、感覚野の…

大脳皮質の分業体制

局所麻酔で脳の手術をうけている患者さんの、大脳皮質の中心溝の前のあたりに電極をあてて電流を通じてみる。すると、拇指がピク″と動く。刺激する場所をすこし下にすらすと、 こんどは顔の筋肉がひきつる。 刺激電極を中心溝のうしろに移すと、手の甲に触ら…

脳定位固定装置

脳のなかの旧皮質、古皮質やいろいろな核に電極をいれて、電気刺激をしたり、脳波を記録したり、あるいは化学物質を注入したり、破壊したりするために考案されたのが、脳定位固 定装置である。いわば、化学実験における天秤、組織学研究における顕微鏡のよう…

臨床脳波

脳の働きに異常がおこると、それに対応して、異常な脳波パタンが現われてくる。 これを手掛りにして、病気の診断や治療の目的に活用するのを、臨床脳波という。 異常な脳波パタンの主なものは、 一 a波のサイクルや振幅の減少 二 左右の対称点における脳波…

脳波の発見

筋肉も神経線維も電気を発生するなら、脳細胞も活動すれば、活動電位をだすに違いない。そう考えて、実験をはじめたのが、イギリスの生理学者ケイトンである。 ケイトンは、 ウサギの脳を露出して、その表面に電極をあて、これを鋭敏な電流計につないでみた…