2014-08-16から1日間の記事一覧

脳の研究を推進させたもの

南イタリアのポンペイが、ベスビオス山の大爆発で一瞬にして廃墟と化したのは、西暦七九年のことである。 このポンペイの廃墟から掘りだされた薬種商に、地中海でとれるシビレエイを描いてある看板が発見されている。当時の記録に、ひどい頭痛やはげしい陣痛…

興奮と抑制

興奮という言葉をきくと、とかく、いらだった神経、おちつかない心、いきりたった姿を想像しがちである。しかし、ここでいう興奮は、もっとおちついた学問的用語である。 たとえば、筋肉細胞が収縮するとか、感覚細胞か刺激をうけいれるとかいったように、私…

細胞体と樹状突起

普通、数す本の突起がでており、そのうちの一本は軸索といい、普通、長くのびていて、神経線維の芯になっている。ほかの突起は樹状突起という。 細胞体は、一般の細胞と同じように、核とそれをとりまく細胞質からできている。核は、細胞の生活の中心であり、…

ネフロン

私たちの身体で、天文学的数字を求めるとすれば、身体全体を組立てている細胞の数であろう。約三十兆といわれている。 ‘ それに比べると、脳を組立てている細胞の数は、足もとによれない。それでも、精神の座、大脳皮質にある一四〇億の神経細胞は、世界の人…

脊髄

脊髄の両側面から、三十一対の脊髄神経(頸神経八対、胸神経十二対、腰神経五対、仙骨神経五対、尾骨神経一対)がでており、これに対応して、頸髄、胸髄、腰髄、仙髄に区分され ている。頸髄の下方部と腰髄が太くなっているが、手と足にたくさんの神経線維を…

小脳

小脳は、橋と延髄の上にあって、大部分は大脳半球の後頭葉でおおわれている。中央がくびれた長円体で、くびれた部分を虫部、左右のふくれた部分を小脳半球という。表面には、横 に走る溝がたくさんある。 縦に切ってみると、中心部にある白色の髄質が、樹枝…

大脳皮質の微細構造

大脳皮質をうすく切って染色してみると、形、大きさの違う神経細胞が層をつくっている。これを細胞構築という。 標準型の細胞構築を模型的に示したもので、右端から二番目は、神経細胞だけを染めだしたもの、右端は神経線維だけを染めだしたものである。次の…

脳の構造

私たちの身体のうちで、脳ほど傷つかないように厳重に保護されているものはない。三重の脳膜(硬膜、クモ膜、柔膜)で包まれている。柔膜は、脳の表面にぴったりくっつき、その 外側のクモ膜との隙間は、髄液で満たされていて、外からの衝撃が脳へ強くひびか…

脳の発達

生れたばかりの赤ん坊は、頭でっかちで四頭身。しかし、みるみるうちにスマ、トになって八頭身といけば理想的であるが、私たち日本人では、せいぜい六・五頭身から七・五頭身と いったところである。 ということは、人間の脳は、胎児のうちに、身体のぽかの…

中央集権の神経系

ところで、脊椎動物になると、神経系の形式が根本的にかわってくる。第一の違いは、神経節が神経細胞の塊りであるのに対して、脳と脊髄は、中心に穴が通っている管の形 式である。第二の違いは、神経節の連鎖は、消化管の腹側にあるのに対して(腹髄という)…

脳の進化

アメーバの偽足を針でついてやると、あたかも針の先をさけるように、偽足を別の方向へのばして逃げてゆく。刺激を受けいれ、それに反応して運動したのである。また、食物のとり こみ、消化吸収、老廃物の排泄などの物質代謝も行なっている。 アメーバは単細…