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わかりにくい文章の書き方

正確であり、しかもわかりにくい文章 この節の表題は、誤植ではない。わかりにくい文章を書かねばならぬ場合も、この世には存在する。言い訳をしたい場合、責任回避をしたい場合、あるいは、将来の方向づけに関して明確なコミットメントをしたくない場合など…

論理関係を正確に

わかりやすい文章を書く大前提は、ます何よりも、著者自身が内容をよく理解していることである。これは、当然のことだ。しかし、実際には、そうでもない。学生の論文では、つぎのような問題が頻繁に生じる。 (1)問題が何であるかを適切に捉えていない。 …

選択して集中せよ

一般に、「あれもこれも」と網羅しようとすると、論旨も主張もはっきりしなくなる。重要なものが何かを見出し、それに集中すべきである。これは文章に限ったことでぱないが、文章執筆ではとくに重要なことだ。 「これ以外の場合もあることを忘れている」「最…

口頭伝達ではもっと難しい

文章なら読み返すことができる。しかし、口頭伝達では、それができない。このため、聞き手は全体の構造を把握できないことが多い。 対話の場合には、聞き手はわからないところで質問できる。しかし、講義や講演では、質問しづらい。したがって話し手としては…

「わかりにくさ」の一般理論

部分と全体の関係がはっきりしない 私は、学位請求論文す課題論文、懸賞応募論文などを読む機会が多い。これらの多くは、「じつにわかりにくい文章」なので、直すことが頻繁にある。だから、「わかりにくい文章がなぜわかりにくいか」「それをどう直せばよい…

箇条書きで示す

並列する内容であることを示すには、箇条書きにするのが一番わかりすすい。例えば、「この原因としては四つのものがある」ということを示すには、四項目の箇条書きにする。 もっとも、文学的志向の強い人は、こうした書き方を嫌う。無味乾燥で実務的すぎると…

文章のまとまり相互間の関係

結論と理由の順序 2で述べたのは、個々の文をどのように続けたらよいかという問題だ。類似の問題は、文の言とまり相互間においても発生する。 しばしば問題となるのは、結論が先か、理由が先かである。 数学の場合には、定型的な書き方がある。主張を「定理…

文と文の関係を接続詞で示す

文と文との論理的な関係は、つぎのような接続詞を用いて、明瞭に示すべきだ。 ◆論理を進める場合-したがって、だから、このため、それゆえ、ゆえに、かかるがゆえに、結局。 ◆根拠を示す場合-なぜなら、その理由は、というのは。 ◆論理を反転する場合-しか…

言語明瞭、意味不明瞭

個々の文の意味はわかるのだが、文と文がどのような論理関係でつながっているのか、がわからない場合も多い。 突然別の話題が出て来て、前の記述とどうつながっているのかわからない。いくら読み進んでも、何を主張したいのか、がわからない。読み進むほどに…

修飾語と被修飾語の関係がはっきりしない

文章が読みにくくなる原因は、主語述語の関連問題以外にもある。しばしば生じる問題は、修飾語の対象が捉えにくいことだ。これも、複文の場合によく起こる問題だ。ただし、複文でなくとも起こる。 つぎの表現は、八つの異なる意味に解釈できる。 「黒い目の…

主述泣き別れシンドローム

つぎの文を読んでいただきたし。 (I)私の友人が昨年大変苫労して書いた本は、パソコンが普及し始めた頃には、異なるアプリケーションソフトが共通のOSで動くようになっていなかったため、データを交換することができす、非常に不便だったと述べている。…

学術論文での引用

学術論文においては、以上で述べたのとはまた別の意味で、引用が不可欠と考えられている。それは、論文の内容が思いつきす独り善がりでないことを示すことだ。これが、引用の第三の機能である。 この意味での引用は、単なる「飾り」以上のものだ。すべての学…

レトリックの重要性

まず何より、こうしたテクニックの重要性をつねに意識すべきだ。もちろん、意識したからといって、すぐにうまくなるわけではない。ただし、文章を読む際にいつもこのことを意識していれば、次第にうまくなってゆくだろう。意識するかしないかは、長期的には…

なぜ終わりが大切か?

終わりが重要な理由は、二つある。 第一に、「読むに値する文章かどうか」を判断するのに、最初を見るだげでなく、結論を読七人もいるからだ。それどころか、最初は飛ばして終わりから読む人もいる。岸信介元首相は、書類を後ろから読んだそうである。しつけ…

キャペンディッシュ論文の魅力的なタイトル

多くの人は、「学術論文では客引きは必要あるまい」と考えるだろう。しかし、事実は逆である。学術論文においてこそ必要なのだ。なぜなら、きわめて多数の論文が発表されているからだ。しかも、読者は多忙な人たちである。彼らに読んでもらうために、「客引…

序論・本論・結論の三部構成で

文章の構成について、昔から「起承転結」ということ、が言われてきた。しかし、これはもともとは漢詩の形式である。現在では、文学的エッセイで用いられる形式だ。論述文の場合は、これに従う必要はない。むしろ、「転」のところで別の話題が現れると(ある…

全体は三部で構成する

第2章で述べた「骨組み」は、内容面のものである。すでに述べたように、この意味での骨組みは、通常は隠されていて、外からは見えない。 外から見えるのは、形式的な構成だ。これに関して通常論議されているのは、「起承転結か三部構成か」という問題だ。こ…

話す場合も長さを意識しよう

以上で述べたのは文章の場合である、が、話す場合も、「長さ」(与えられた時間)を意識する必要がある。 論文審査のとき、「最初に五分で要旨を述べよ」と注意したにもかかわらす、延々と話す学生が多い。一五分たっても、序論しか話していない。このような…

長文-一万五〇〇〇字

「一万五〇〇〇字」は、一行四〇字で三〇〇~四〇〇行程度、四〇〇字詰めの原稿用紙では、三〇~四〇枚である。 これは、本格的な論文や報告書の長さだ。あるメッセージをさまざまな観点から述べられる。問題点の指摘だけでは不十分で、答えを書く必要、があ…

短文-一五〇〇字

二五〇〇字」は、一行四〇字で三〇~四〇行程度、四〇〇字詰めの原稿用紙でいえば、三~四枚である。ワープロで書いた文章を標準的な設定でプリソトアウトすると、A4一枚がほぼこの長さになる。 通常は、この長さの文章を「短文」という。新聞の論説や、雑…

文章には「短文」と「長文」しかない

形式面でまず重要なのは、「長さ」(文字数)である。 「何、が言えるか」は、与えられた字数に依存する。長さが内容を規定するのであり、内容が長さを決めるのではない。したがって、「どれだけの字数を使うことができるか」を、つねに意識している必要、が…

 なぜ「得意科目」でやらないのか?

会社の経営者で、会社の経営と無関係な世界情勢や、抽象的な経済理論のことを書く人がいる。 もちろん、それもいいのだが、なぜ経営の実体験に基づいたことを書かないのだろう?「日本人は農耕民族だから、アングロサクソン流の経済制度は合わない」とか「市…

私がエ-ル大学で勉強していたとき大切にしていたのは、コーヒーメーカーが置いてある小さな部屋での雑談だった。大学院生や若いスタッフが、この部屋にふらっと立ちよる。そこで「どんなテーマがいま流行っているか」という類の話が出る。これは、教室の講…

血液-脳関門

メスレンブル、のような色素を動物に注射すると、脳膜や血管の内壁は色素でそまるが、脳の実質(神経細胞やグリア細胞)はまったくそまらない。このように、脳の血管にはいった物質は、すべて脳の実質にはいるというわけではなく、血液から脳にはいるには。…

脳を支える物質代謝

私たちの身体のなかで、脳ほどぜいたく三昧をしている器官はない。しかし、その構造の複雑さ、働きの微妙さ、役割の重要さを考えると、無理もないことである。 そこで、ます、そのぜいたくさを証明するデータを示そう。脳を流れる血液の量は。一分間で、これ…

行動を操る脳

ロシアの新進の生理学者パブロフが、ノーベル賞受賞の対象になった消化腺の活動を研究していたときのことである。 唾液腺の導管を頬の皮膚にぬいつけ、唾液の分泌が滴数ではかれるようにしたイヌが、いつも餌を貰っている小使の靴の音が近づくと、あたかも餌…

新皮質と大脳辺縁系が、それぞれ別の賦活系によって、その活動水準が統御されていることがわかったが、この二つの賦活系は、決してお互いに独立であるはずはない。新皮質で形成される高等な精神活動と、大脳辺縁系で営まれる基本的な心の動きとは、お互いに…

マグンは、感見神経路を上行する感覚のイングルスそのものが。大脳皮質の活動を支えている(賦活)のではなく、網様体から大脳皮質全体へいっている別の神経路が意識の水準を支えているという。すなわち、網様体の恬動か盛んになると、意識の水準があかって…

意識を支える仕組み

いまさら、意識とはなにかと詮議だてしてもはじまらない。ある学者は、十六の項目をあげ、各項目にかなっているときに、その人には意識があると判定できるといっているくらいだ から。 アメリカの神経学者は、「自分の周囲のことと自分自身のことがわかって…

夢の仕組み

白昼夢ということがあるが、普通、夢は眠りのなかの精神現象である。そのために、夢にまつわる議論ははてしがない。 サン・ドウニのように、眠りには、必ず夢が伴なうと主張する人心あれば、ローマの暴君ネロのように、自分は一度も夢をみたことがないという…

眠りのと精神的身体的変化

ポリグラフの一例である。このグラフにも示されているが眠っているときには精神的。身体的にいろいろな変化がおこる。 まず、意識の水準がさがり、高等な精神活動も本能的な心の動きもなくなる。なお、斜線で示してあるところは、あとで説明する賦活睡眠(逆…

眠り、夢みる脳

第二次大戦中、アメリカで、数百人の兵士が参加した大がかりの断眠の実験が行なわれた。 断眠二、三日目から、いらいらしたり、記憶がわるくなったり。ひどい錯覚や幻覚がおこったりして、四日目ころには、ほとんどの者が脱落してしまったという。断眠八日と…

記銘の仕組み

それでは、これらの領域で、記銘がどんな仕組みで行なわれているか。ほかの精神活動と同じように、記銘の仕組みも、複雑な神経細胞の連鎖が作る閉回路のなかのイングルスの流れ と考えられている。そして、一つ一つのことがらの記銘には、それぞれ違っベ(タ…

記憶し、学習する脳

情報を処理する電す計算機が、おこがましくも人工頭脳、考える機械などとよばれるようになった。計算がはやくなったせいではなく、記憶装置ができたためである。 しかし、記憶ができるといっても、一つの計算が終ったらご破算しないと、次の計算にかかれない…

内臓を監視する大脳辺縁系

これまでは、視床下部が自律神経系の中枢と考えられていた。ところが近年になって、その上位にある大脳辺縁系が、実は視床下部に統御、調整的に働きかけているこ とがわかったのである。 大脳辺縁系と視床下部の線維連絡からも当然考えられることであるが、…

自律神経系の働き

内臓器官の働きは、二重支配している交感神経と副交感神経の拮抗的な働きかけによって統御されているというのが一般の通念である。実際に、心臓に分布する交感 神経が興奮すると、心臓の収縮力がまし、拍動がはやくなり、血圧があがる。反対に、副交感神経(…

自律神経系の構成

内臓王国を統率する自律神経系は、体性神経系と同じように、統合の中枢と、内臓の情報を中枢に伝える上行神経路と、そして中枢からの命令を内臓へ送る下行神経路から組立てられて いる。 上行神経路は、内臓の壁にある受容器からでる神経路であって、本質的…

内臓と内分泌を統御する脳

私たちの身体のなかには、私たちの思いどおりにならない独立国が二つある。それは内臓王国とホルモン王国である。 しかし、私たちの心の動きが、この独立国と全く没交渉だというのではない。怒ると、怒髪天をつき、顔面紅潮し、呼吸ははずみ、心臓はたかなる…

中尾の研究によると、視床下部の中央下部を刺激すると、怒りや攻撃の反応をおこし、視床下部の前部を刺激すると、恐れや逃走の反応をおこすという。この恐れや逃走の反応と、人 間の扁桃核の刺激で不安と恐怖心がおこるという観察を考えあわすと、不安や恐怖…

怒る脳

私がここで 涙がでるから悲しくなるのだ。逃げだすから恐ろしく感するのだ。とでもいおうものなら、とんでもない、と一笑にふされるに違いない。 しかし、五十年ほど以前に、ジェームズとラングの二人の心理学者が、この情動の末梢起源説なるものをまじめに…

群集欲の仕組み

最後に、群集欲であるが、飲、食の行動や性行動をより能率的に営むために、欠くことのできない欲求の心である。動物はもちろんのこと、私たち人間も、家庭、団体、社会 、国家、民族といったように、形式や規模は違うが、お互いに相寄り集って集団生活をして…

視床下部の内側部に電極をいれて剌激

次に、視床下部の内側部に電極をいれて剌激してみると、こんどは全く餌をたべなくなる。 そこで彼らは、内側部を、満腹を感する中枢と考え、外側部を空腹を感する中枢と考え、この二つを総括して、摂食中枢とよんだ。 イヌやネコやサルでも、同じ現象がおこ…

本能をうみだす脳

どんな高僧、聖人、碩学といえども、これだけはどうすることもできない。 私たちの頭のだかに、おのずとわいてくる生物的欲求の心---この心なくては、私たちはこの世に生をつなぐことができない。なぜなら、それは、個体維持と種族保存の営みを、た くま…

精神薬理学

脳の研究が、脳波の導入と応用によって非常に推進されたことは、すで述べたところであるが、大脳辺縁系の研究の発展に対する脳波の貢献もまだきわめて大きい。 ところで、旧皮質率古皮質は、同じように大脳皮質とよばれているが、新皮質との間に、細胞構築学…

大脳辺縁系

嵐も吹けば雨も降る、陸上の変転きわまりない環境のなかで、雨ニモマケズ、風ニモマケズ、たくましく生活を営むために発達しだのが、陸上の脊椎動物の前脳である。 ところで、基本的生命活動である個体維持と種族保存の営みは、水中生活では、主に味覚がその…

利き手

字をかいたり、箸をもったり、相手をなぐったりするような、片手でできる動作に普通、私たちはどちらか一方の手をきめて使う。敏捷に、しかも正確に動かすことができ(器用さ)、 そのうえ、力もよくはいるためであって、これを利き手という。 人間では、右…

利き手、利き脳

私たちは、左右の手を自由に使いわけることができるし、皮膚の感覚も、左右を感じわけている。身体の左右の筋肉や皮膚の感覚を司る運動野辛感覚野が、左右の大脳半球にふりわけ られているためである。 しかも不思議なことに、脳と身体で、支配関係が逆にな…

情動的な言葉

以上述べた言語野は新皮質にあるから、当然、知的な言葉の座と考えられる。 すると、情動的な言葉の座はとこにあるのだろうか。大脳辺縁系の皮質部分や、それと関係をもった脳幹 の部位を刺激すると、発声がおこることが動物実験でたしかめられているから、…

言葉をしゃべる脳

イヌやネコでも、いくつかの鳴き声をなきかけている。別府近郊の高崎山のサルの叫び声には32種類に区別できるという。 しかし、動物の声は、鳴き声、叫び声であって、私たち人間が話す言葉ではない。 ダーウィンの進化論を推進したへッケルは、進化の段階…

知り、喜び、意欲する脳

漱石の「草枕」の冒頭に 智に働けば角が立つ。情に掉させば流される。意地を通せば窮屈だ。兎角に人の世は住みにくい。という文句がある。私たち人間の高等な精神活動である知、情、意を、心にくいま でいいあらわして申し分がない。 ここで、知とは知覚、認…