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ファースト・フロアは2階か

 

 発音から語彙のレペルに話を移そう。全体としては英米における相違は発音ほど大きいとはいえないが、ときに誤解を与えかねない語があるので、注意が必要である。たとえばfirst floor という表現。アメリカでは「1階」を意味するのに対して、イギリスでは「2階」の意味となる。イギリス英語での「1階」はground floor、つまり「地面とおなじレベルの階」となる。このように英米では1階分の相違があるので、とりわけ人と待ち合わせの約束をするときには、どちらを使うかに気をくばらねばならない。

 私の研究室は文学部本館の2階にある。電話で研究室の所在を告げるときには、

 My office is on the second floor of the mambuilding. (私の研究室は本館の2階にあります)のようにいうが、イギリス人の訪問者には、

  My office IS on the first floor of the main building.

というようにつとめている。 もっとも、この本館は古典的な2階建ての建物なので、かりにsecond floor といっても3階と誤解されることはないのだが。

 もしも、どちらかを明確にする必要があれば、

 Can I see you at my office on the seventh floor in the American sense?  (アメリカ式でいえば7階にある私のオフィスでお会いできますか)

のように“in the American sense” (アメリカ式にいえば)とつけ加えればよい。

 ついでながら、ドイツ語やフランス語では、イギリス式に2階は「最初の階」と表現される。したがって、ヨーロッパの人にはイギリス方式のほうがわかりやすいはずだが、実際にはどうだろうか。

『英語表現を磨く』豊田昌倫著より