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UとノンU

 

 そういえば、オックスフォードの関係者が自負の念をこめてthe other university (別の大学)と呼ぶ、名門のケンブリッジ大学に進んだ英語学者のウォルター・ナッシュは、入学前には「ナプキン」をservietteと呼んでぃたところ、大学に入学するとtable napkinへと長年のことばづかいを変えざるをえなかったと告白している。こうした階級とことばの強固な関連性は、イギリスという国を考えるときに、避けて通ることはできないようだ。

 servietteとtable napkin との対比は、すでにアラン・S・C・ロスが「UとノンU一社会言語学的考察」と題する論文で例示している。 1954年に発表されたこの論考のなかには、

perhaps the best

known of all the linguistic class-indicators of

English.

   (ノンU: serviette/U: table-napkin 〔ナプキン〕英語の階級区分を示すすべての語のなかで,おそらくもっともよく知られている例)
という説明がみえる。ロスはイギリスの社会と言語を二分する概念として「UとノンU」を提案したのであった。彼によれば、1950年代においてこの2つの階層を区別する唯一の標識は言語をおいてほかにないという。これは次に示すように、いささか図式的にすぎるとはいえ、イギリスにおける階級と言語を考える上で無視できない考え方である。

U(上流階級)

ノンU(非上流階級)

「ナプキン」


 1つ小説からの引用をおみせしよう。

(8) The English language has great variety and none greater than in the vocabulary andvowels of the different classes…

She would wrestle with the temptation to eat a

    (英語は異なる階級間での語彙や母音に関しては、とりわけ多様性に富む言語である……。彼女は「昼食」をlunchといい、決してdinnerとはいわなかった……。彼女は「デザート」を食べたい誘惑とたたかっても、puddingといい、決してsweetとかdessertとはいわなかった。昼食が終わったとき、彼女が囗をふく「ナプキン」はservietteではなくnapkinであった)
 (ピアス・ポール・リード「成り上がり」)