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広汎性発達障害

 

 広汎性発達障害(PDD ; Pervasive Developmental Disorder)は聞き慣れないことばかもしれませんが、保育の現場でよく見られる自閉症やその周辺の疾患のことをいいます。

 ことばだけの遅れではなく、人とのやりとり(社会性)、そして基本的な生活習慣など広範囲にわだっての発達上の問題(遅れや質的な異常)が気づかれるので、「広汎性(多くの領域)」発達障害といわれています。

 WHO(世界保健機関)のICD一↓Oとい①診断ガイドライン(融ら監訳、 1.993)に従って、広汎性発達障害の診断名をあげてみると、“小児自閉症自閉症)”“非定型自閉症”“レッド症候群”“他の小児期崩壊性障害”“精神遅滞および常同運動に関連した障害’‥アスベルガー症候群”などがあります。

 幼稚園や保育園で「人との関係がうまくとれない」[いつも一人で遊んでいる]などの特徴ある子どもたちのなかで、上記のいずれかの診断名がついている子どももいるでしょう。

 まず比較的頻度が多く見られる自閉症およびその周辺の疾患-“小児自閉症自閉症)”“非定型自閉症”そしてアスペルガー症候群”について述べてみたいと思います。

 イギリスの自閉症専門家であるローナ・ウイングはこの3つの障害およびその他の広汎性発達障害をも含む概念として(ただし、レット症候群”ど精神遅滞および常同運動に関連した障害≒除外される)、[自閉症スペクトラム](Wing、 1998a)を提唱しました。これは以下に述べる障害の3つの領域の症状が非常にはっきりとしたものから正常に近くはっきりとはしていない状態まで連続しているO血読帯の)なかでみていこうという考え方です。その3つの障害の領域とは、①ことばを含めたコミユニケーションがうまくできない(言語および身ぶり手振りなどの非言語のコミュニケーションの障害)、②社会的な役割や人とのやりとりがむずかしく、集団にうまく入っていけない(社会性の障害)、③想像力がない、すなわち、ごっこ遊びやみたて遊びがうまくできず、思考や行動に柔軟性がない(想像力の障害)ことです。③の想像力の欠如についてはわかりにくいかもしれませんが、言い方を変えると、興味関心の輻が狭い、何度も同じ活動をやりたがり過乗りこはまりこむ(同一性保持の)頃向かあります。「自閉症スペクトラム」の一一番の顕著な特徴は人への関心をもちにくいということです。あるいは関心はあっても、[興味のあることだけを一方的に話す]などちょっと奇異なものであったりします。

 前述の診断名に関しては、この①~③が3歳以前からしっかりと認められるのが、“小児自閉症自閉症)”で、3つのうちの1つないし2つが欠けたり、3箴以降の発疱だったりするのが、“非定型自閉症”です。そして、言語あるいは認知的な発達には明らかな遅れは認めないけれど、上記の3つの特徴のうち、②の社会性の異常と③の興味関心の範囲が限定されているという2つの領域の症状のみが当てはまるのが“アスペルガー症候群”ともいえます。

 その他の上にあげた診断名の中で、まず、耳慣れない“レッド症候群”について、簡単に説明してみます。女の子のみの病気で、生後6か月から2歳ぐらいまでに発達の異常に気づかれます。それまでは正常にできていた手先の運動や言語の能力が低下してきます。特徴的な動作として、手と手をくっつけてねじってもむ常同運動(もみ手をするような行動)や急に大きくハーバー息をするような(過呼吸)動作があります。背骨が横や後ろに曲がって、身体がふらついたり、うまく歩けなかったりします。食べ物を喘みくだくのもうまくできなかったり、しばしばよだれを過剰にたらしたり、大小使の自立がなかなかできなかったりします。社会的な関わりをもつことは少なく、つねに重度の言語および知的な障害があり、しばしばてんかん発作が出現します。一般に8歳前に出|現します。

 次に“小児期崩壊性障害”ですが、社会性の障害、コミュニケーションの障害、行動の異常の3つが認められる点では自閉症と同じですが、違う点は、“2歳までは外見上はほぼ正常に発達する”“2歳すぎまでに身につけた言語、遊び、基本的な生活習慣などができなくなってしまうことがあげられます。ある時期まではできていた大小使の自立的なコントロールができなくなったり、食事、着替えなどできていたことができなくなったりします。通常3~4歳で異常に気づきます。

 これらの“レフト症候群”や“小児期崩壊性障害”は、自閉症に比べればずっとまれな病気とされています。

 “精神遅滞および常同運動に関連した過動性障害”は、アメリカ精神医学会の診断基準(DSMJV)にはなくて、 WHOの診断ガイドラインの方にだけある診断名です。これは、発達上不自然なほど落ち着きがなく、注意の持続が短く、しばしば常同行動(クルクル同る、身体を揺する等)、あるいは反復的な行動パターンや自傷行為が認められ、重度(IQ= 50以下)の精神遅滞が認められるのが特徴です。

『保育に生かす心理臨床』より