興味関心や行動パターンの異常

 

     同じことを繰り返したり、興味や関心に偏りがあったりせまかったりする

 自閉症の3つ目の主な特徴として、いつも同じようにものごとが進んだりしていないと不安になりやすかったり、司じことを繰り返して何度でもやったりするという行動があります。しばしば、ジャンプしたり、指をずっと動かしていたり、手で机をパンパン叩いたり、足で床をならしたりなどする、奇妙にも見える同じような行動をします。 ミニカーのおもちゃを同にやり方で繰り返し並べて床に目を近づけて斜めから眺めたり、何度もテレビで見た動作を真似したりします。これらを医学的には「同一性の保持」と呼びます。このように
同じことをしなくては気がすまない、身のまわりのものが同じようになっていないと気がすまないという固執的症状は、興味・活動を限定してしまい、想像的な活動の広がりを妨げてしまいます。これをウイングは「想像力の障害」といっています。

 大人が子どもに関わろうとしたとき、その子が関心のあることだと、すぐに反応してくれるのに関心のないことだと全然見向きもしないということがよくあります。また他の子どもといっしょに何かのふりをしたりするごっこ遊びは苦子です。また集団の中でのお遊戯や、みんなが守るルールに従って遊べな
い傾向があります。

 身のまわりの変化に弱い例として、新しくカーテンを変えたとか、夕食時の座る位置が変わり他の人が座っていたなどの変化や、ちょっとした洗面台上の歯磨き子ユーブの位置の変化などで泣き叫ぶことがあります。

 他によくある傾向として、あることに強い興味を示したりします。たとえば、ドアを開けたり閉めるたりすること、回っているおもちゃの車輪や扇風機、その他エアコンの室外機など早く回転する物体を子っと見る、水道の水で飽きもせ子水遊びを続けるなどです。また、たとえば、1本のヒモ、輪ゴム、ガーゼや特定のおもちゃをいつも子に持っているなど、特定な物への強いこだわりがあったりします。

 これらの自閉症児に見られる「こだわり」は、見る・聴く・触る・臭いをかぐ・味わうといった五感の感覚の情報処理の偏りがその原因となっている可能性が高いと考えられています。たとえば、「換気扇を子っと見つめる、トランプを宙に投げて散らばる様手を見る、手を眼の近くでかぎして振る」「物をなんでも回転させて遊ぶ」といったこだわりは、視覚的な情報が普通の子どもとは違ったかたちで処理されるために、特別に楽しい事柄として体験されるのかもしれません。また、「泥や砂、水を使っての感触遊びに没頭したり、逆にのりや粘土などのねばねばしたものに触るのを嫌がる、大人に抱っこされたり触られるのを極端に嫌がる」などのことは触覚的な情報の入力を処理する脳の働きが他の子どもと異なっているのかもしれません。また、ある特定の決まったものしか食べないといった偏食がひどかったりするのも、味覚や口の中の触覚に関する情報を脳で処理するときの異常があるのかもしれません。聴覚の情報処理の偏りとしては、「名前呼んでも振り向かないのに子ヨコレートやお菓子の包み紙を開ける音ですぐに反応したり、花火や赤ちゃんの泣き声などの突然の大きな音や声は耳をふさいで嫌がるけれど、特定の音の出るおもちゃをとても喜んで扱う」ことなどがあります。臭覚的な情報処理の偏りとしては、「食べ物ではないものの臭いをかぐ、はじめて食べるものはかならず臭いをかぐ」などがあります。