聴覚や臭覚の情報処理の偏り

 以前はたいていの症例では、精神遅滞をともない、遅滞の程度は中等度(IQ35~50)の場合が多く、およそ4人に3人の自閉症の子どもは知的な発達に遅れが認められるといわれていました。しかしながら最近の調査では、広い裾野をもつ病態であり、自閉症グループ(自閉症スペクトラム)は100人に1人近くもいる(Wing、 1996)ことがわかってきました。また知的障害をもたないものの割合も4~5割近くに達する(本田、 1998)という報告も出てきています。

 脳波異常は、たとえ発作がなくても認められることが多いようです。4人に1人は(青年期までの問に)てんかん発作が生じるともいわれています。てんかん発作をはじめて起こす年齢は就学前に小さなピークがあり、思春期前後に大きなピークがあるといわれています。

 このように自閉症児はさまざまな行動の特徴を見せ、脳波異常も多く認められますので、発達障害を専門とする児童精神科医の診断を早期に受けることが必要です。そして、その子どもにもっとも適した家庭での養育法と幼稚園・保反応してくれるのに、関心のないことだと全然見向きもしないということがよくあります。また他の子どもといっしょに何かのふりをしたりするごっこ遊びは苦子です。また集団の中でのお遊戯や、みんなが守るルールに従って遊べない傾向があります。

 身のまわりの変化に弱い例として、新しくカーテンを変えたとか、夕食時の座る位置が変わり他の人が座っていたなどの変化や、ちょっとした洗面☆上の歯磨き子ユーブの位置の変化などで泣き叫ぶことがあります。

 他によくある傾向として、あることに強い興味を示したりします。たとえば、ドアを開けたり閉めるたりすること、回っているおもちゃの車輪や扇風機、その他エアコンの室外機など早く回転する物体をずっと見る、水道の水で飽きもせず水遊びを続けるなどです。また、たとえば、1本のヒモ、輪ゴム、ガーゼや特定のおもちゃをいつも子に持っているなど、特定な物への強いこだわりがあったりします。

 これらの自閉症児に見られる「こだわり」は、見る・聴く・触る・臭いをかぐ・味わうといった五感の感覚の情報処理の偏りがその原因となっている可能性が高いと考えられています。たとえば、「換気扇を子っと見つめる、トランプを宙に投げて散らばる様手を見る、手を隕の近くでかぎして振る」「物をなんでも回転させて遊ぶ」といったこだわりは、視覚的な情報が普通の子どもとは違ったかたちで処理されるために特別に楽しい事柄として体験されるのかもしれません。また、「泥々砂、水を使っての感触遊びに没頭したり、逆にのりや粘土などのねばねばしたものに触るのを嫌がる、大人に抱っこされたり触られるのを極端に嫌がる]などのことは触覚的な情報の入力を処理する脳の働きが他の子どもと異なっているのかもしれません。また、ある特定の決まったものしか食べないといった偏食がひどかったりするの仏味覚や囗の中の触覚に関する情報を脳で処理するときの異常があるのかもしれません。聴覚の情報処理の偏りとしては、「名前呼んでも振り向かないのにチョコレートやお菓子の包み紙を開ける音ですぐに反応したり、花火や赤ちゃんの泣き声などの突然の大きな音や声は耳をふさいで嫌がるけれど、特定の音の出るおもちゃをとても喜んで扱う」ことなどがあります。臭覚的な情報処理の偏りとしては、「食べ物ではないものの臭いをかくへ はじめて食べるものはかなら寸臭いをか帽などがあります。