ADHD(注意欠陥・多動性障害Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder)

 

 

 幼稚園や保育園にいつも動き回っている子ども、一つのことに注意をしっかりかけて集中することができない子ども、忘れ物ばかりする子ども、先生の指示が聞けないけれど自分の好きなことには集中できる子どもなど、知的には問題がなさそうなのに行動が変な子どもを見かけ主寸。前述の精神遅滞や広汎性発達障害自閉症ではなさそうなのですが、「あの子は何か変」「皆と同じ行動がとれないのに先生と1対1では課題に取り組むことができる」「乱暴ですぐに怒る」「自分勝手」あるいは「とてもユニークでおもしろい」と思われている、保育者たちにとっては「困った行動」をする子どもたちです。これらの行動が他の回年齢の子どもだちとかけ離れていて、6か月以上も長く続き、本人にとってもまわりにとっても園生活や家庭での生活に問題が多く、生活していく上でさますまな困難が寸っと続いてしまっている場合はADHD(注意欠陥・多動性障害)を疑ってみます。こうした困難さのために もちろん他の障害と同じようにまわりの理解と援助がどうしても必要となってきます。

 さて、ADHDとはどういう障害なのでしょうか。

 教科書(診断基準のテキスト)(中根ら、 1994うなどに照らして、この特徴をみていきますと、注意欠陥・多動性障害(ADHD)とは3つの特徴からなっています。 1つは不注意、2つ目が多動性(過活動)、3つ目が衝動性です。世界保健機関(WHO)の診断基準では、「多動性障害(Hyperkin・ti・Disorders)]と呼びます。この障害に基づく特徴的な行動は就学前(通常生後6年以内に生じる)に始まっており、かつ長く持続します。

(1)不注意

 勉強や身支度などやるべきことをなかなか始められない。やらなくてはいけないことを最後までやらないうちにやめて好き勝手なことをしてしまう。なにかに取り組んでいてもちょっとしたことですぐに気がそれてしまう。何かをやり遂げたり、順序立ててやったり、整理整頓や片づけが苦手。先生の話などを集中して聞けていない。そこにものを置いたことを瞬時に忘れてしまい、ものをすぐになくす。忘れ物が多い。何度も繰り返し言われたことでも30分もたつときれいさっぱり忘れてしまい、結果として言われたことがまったく実行できない。面と向かって言われたこともちゃんと聞いていないように見える。先生の話を集中して聞けない。すぐにうわの空になっている。所持品の始末ができ子、自分の持ち物があちこちに散らばっている。身だしなみや行動がだらしなく見え、いちいち指図されないと身辺処理が一つひとつできない。うっかりミスがやたらと目立つ。