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パニックやかんしゃくへの対応

 

 集団に参加できなかったり、自分のやっていることを止めることができない子どもの中には、少しでも強く集団活動へ参加することを促子と、泣きわめいてしまう子どももいます。また、その子どもが何か描いていたり、製作していたりしているときに、保育者が「こう寸ればもっと簡単だよ」などと教えようとすると、怒って拒否したり、他の子どもがちょっとでも触っただけで泣いたりする子どももいます。激しく泣いて、ちょっとでも声をかけようとすると、さらに泣き声はボリュームアップして、床に転がり足をばたばたしたり、果てはそばにいる子どもや保育者に乱暴をしてきたりする子どももいます。まったくこちらが理由もわからないまま、突然泣きだし大騒ぎする子どももいます。こういうときはまわりの子どもも困り顔になり、保育者としてはどう対応したらよいかわかりません。

 パニックやかんしゃくをよく起こす子どもの要囚をここで考えてみましょう。子どもの興奮しやすい性格による場合や生活環境や人問関係に問題がある場介もあります。また、前述のような、知的障害(精神遅滞)や自閉症やその他の広汎性発達障害などのように脳機能に問題がある場介などが考えられます。これらの原因はだかいに重なり介っている場合も多いのです。健常な子どもでも、知的障害自閉症(広汎性発達障害)の子どもで払母親や身近な大人(多くは保護者)がしつけなどに厳し子ぎる対応をしていて、その親との関係がねじれ
て歪んでいることが原囚で、ちょっとのことで、パニックを起こすことも考えられます。この場合は生活リズムをます整えて、親が細かいことをいちいちとがめ寸心その親との関係を改善していくことが大切です(荒木、 1999)。つまり生活環境の中から不安感を取り除いてあげることが必要なのです。

 知的な遅れがある場合(知的障害)や自閉症、その他の広汎性発達障害の場合は状況の変化や突発的な状況に適切に応じていけなかったり、遅れてしまったり、次に起こることやしなければならないことを予測することができないためにっねに強く不安感をもっていると考えられます。また、さまざまなことが理解できないため、いつも不安で不満がある場合もあります。そのため、ちょっとしたいつもと違う活動でかんしゃくやパニックを起こすことがあります。

 ことばの表現力がまだ十分でなく、自分か思っていることや言いたいことが伝えられずに泣いたり、暴力をふるうことで訴えることもあります。この場合は表現力がついていくにつれてかんしゃくやパニックの頻度は減少していきます。

 また、自閉症児によくみられる現象ですが、過去に嫌たった経験をあることがらから思い出して(タイム・スリップ現象、杉山、2000b)、突然泣き叫んでパニックになることもあります。この場合はまわりの大人たちがそのパニックの原因をいくら考えても思い当たら子、困惑してしまいます。

 次にこのようなかんしゃくやパニックを起こした場合の具体的なその場での対応を考えてみましょう。かんしゃくやパニックを起こしてで泣き叫んでいるときに「どうしたの? どうして泣いているの?」などと、理由を聞いて問いただしたり、「○○ちゃんが悪いのよ。そんなことをしないの」などと、説教をしたりしても、その子どもには伝わりません。こちらからの声やことばがより刺激となり、さらにパニックに拍車をかけるようになってしまいます。こうした場合は、ことばかけはせ子に、黙って抱きしめる、そばにいてあげる、そっとしてあげて遠くから見守るなどしてあげることが有効でしょう。

 また、タイム・アウトといって、その場からその子どもを離して別な静かな所に一人でいさせることも必要です。保健室、職員室の片隅、教材室、廊下などが考えられますが、教室以外の所に出そない場合は教室の中のコーナー、ピアノの下、先生の机の側、カーテンの後ろなどのちょっと隔離した場所がよいでしょう。そこですどもが落ち着くのを待ちます。気持ちをクールダウンさせていきます。子どもがこちらの方をうかがうようにして、泣き声を強めても反応しません。ただひた寸ら落ち着くのを待ちます。こうしているうちにかなら子泣きやみます。そうしたら、「よく泣きやんだね」とますほめて、そして気持ちを聞いてみてください。

 パニックやかんしゃくを起こすのではないかと恐れ、腫れ物に触るような対応ではなく、園生活や家庭生活の中で、めりはりをつけて、わかるようにしっかりほめて、また、悪いことをした場介はしっかり叱ることも必要です。繰り返しますが、日常生活の中での不安を取り除き、まわりの大人たちが自分の気持ちを受け止めてくれているという実感をもたせ、子ども白身の気持ちを満たすことが大切です。

 けれどこのような対応をしていってかんしゃくやパニックがいっこうに改善されず、長く続く場合もあります。このような場合は、自閉症などの発達障害を専門とする小児神経科や児童精神科の医師あるいは心理の専門家などに相談することが必要です。