高い所に登ってしまう

 

保育園や幼稚園の窓の枠や机の上、ピアノの上などに平気で登ってしまう子どももよくいます。落ちてしまうのではないかと、保育者をはらはらさせますが、登っている子どもは恐怖をまったく見せ子楽しそうにしています。園庭ではジャングルジムや高い滑り台の上、果てはブランコの高い枠の上、木の高い枝に登ったきり降りてきません。また、ブランコを鎖が切れるほど激しく揺らしたり、1時間でも2時間でもブランコをこいでいて、他の子どもに順番をまったく譲ろうとしません。このような行動も圉では保育者が困ってしまう行動の一つです。

 発達障害の子どもに多く見られるのが[感覚の障害]です。前項の[白傷行為]の一つの要因として「触覚や痛覚の異常」について述べましたが、高い所に登る、揺れを異常に好むなどの行動に関しても「感覚の異常」が考えられます。人間に本来動物として備わっている体性感覚の一つである「前庭覚」や「固有覚」などの感覚統合の異常があると考えられます。どうしても「高い所に登りたい」「揺れを子っと心地よく感じていたい」という要求を抑えられないとも考えられます。けがをする恐れがありますし、また、保育園や幼稚園では他の子どもが真似してしまいますので、危険なことは禁止しなければなりません。そのっと、繰り返し、繰り返し危険だということを教えることが必要です。 しかし「登っちやダメ」「そんなに強くブランコを漕いじやダメ」[早く降りてらっしゃい]と声かけして、無理に引き子り降ろしたりして乱 またすぐに同じことをしてしまいます。「登っちやダメ」のかわりに「下でこの遊びしようよ」「ブランコを5まで漕いだら、この遊びしよう」と次にする遊びに誘います。次の遊びはその子どもが大好きで保育者がいっしょに遊ぶような遊びでなければなりません。また、あまりに激しい場合は、なにかしらの発達面での未熟さがあることが推定され、自閉症その他の発達障害の可能性もあります。療育施設や福祉センター、病院などに行き、作業療法士と相談するとよいでしょう。そこで「感覚統合訓練」などの運動を保護者と協力して進めていくことによって、次第に他の遊びに興味を示し始めて、危険な行為も収まってくるでしょう。