ことばの問題への対応

 

 ことばの遅れなどのことばの問題は、1箴6か月健診から幼稚園・保育園に入っても、お母さんや保育者たちの大きな関心事で、どうことばの発達を促せばよいかという質問が多く聞かれます。

 物の名前や、勣きのことばだけをやみくもに教えたり、あいさつを強制的に言わせたりして払 コミュニケーションの道具として、に対して使っていかなければ、話していることにはなりません。ことばの発達を促すには、いっしょにいて楽しい、もっと関わりたいという気持ちを育てます。共感の気持ちを育てながら、に自分の気持ちや要求を伝えたいという、コミュニケーション意欲を育てていきます。せっかくその子どもが保育者に寄ってきて先生の手をとったとき、「○○ちゃん、何?」「何がほしいの?」[どうしたの?]と先生が聞いてばかりいる場面をよく見ます。何かをしてほしくて、先生の近くに来たのですから、「○○ちゃん、この色紙がほしいのね」などと、その子どもの表情や動きから子どもの要求や気持ちをくみ取って、子どもに伝えて、渡します。子どもは、自分がした動きや時には発声を通して「要求を先生に伝えること」ができたことに気がつきます。次も同しように寄ってくるでしょう。このように ます保育者が感度のよい、子どもからのメッセージの受け取り手になることが必要です。子どもが指さしをして何かをほしいというメッセージを出、しているにもかかわら子、「○○ちゃん、『ちょうがい』は?]と何回も言って、子どもがほしい物を渡さずに「ちょうがい」ということばを無理に言わせようとしていることがあります。「ちょうだい」を言わせることよりも、[これがはしいのね]「これ、『ちょうがい』なんだね」と言って渡してあげるほうが、子どもは「ちょうがい」の意味を理解していきます。また、保育者が子どもの持っている物や子どもの近くにあるものを指さして「これ、ちょうだい」と子どもに何か頼んでもよいでしょう。

 物の名前や動きのことばも、子どもが楽しい経験をしていくなかで覚えていきます。実際の興味ある体験をさせていきながら、ことばをタイミングよく先生が子どもに対して使っていくことですどもは覚えていきます。子どもが「これ、何?」と聞いてきたり、関わってきたときは、タイミングをは子さ子に教えていきます。

 幼児期には正しく音を聞き取る力や発音する力が完全に大人のように育っていませんし、発達障害の子どもは口唇を器用に動か子ことができなかったり、聞き取りが苦子な場合が多く、「発音(楫音)」の誤りもよくあります。「さがな」が「シャカナ」、「きりん」が「子リン」、「らっぱ」が[ダッパ]、また、音の順序が違っていて、「くつした」が「ツクシタ」、「ヘリコプター」が「ヘリプコター」などと言ってしまうことがあります。また、「お母さんをパンにあげるよ」(お母さんにパンをあげるよ)、[OOちゃんがクルマ](OOちゃんのクルマ)などの助詞の使い方の間違えや他の「文法」の誤りや、「ただいま」と言うべき場面で「おかえりなさい」と言ってしまうなど「ことばの使い方」の誤りも発達段階の中では多くみられます。発音(楫音)や文法、ことばの使い方の間違いを、「違うでしょ」[こういうふうに言ってごらんなさい]と子どもが話しているそばから直していっては、子どもは「話したい」意欲をそがれてしまいます。子どもが言ったことばや文章を、決して無理に直さず、そのまま正しい発音や正しい助詞を使って、繰り返して言って返子ことが効果がありま子。あまり発音の誤りが多く、それが原因でいじめられたり、本人も気になっている場合は、言語聴覚士の先生に相談にいくように保護者に子子めるとよいでしょう。