まわりの子どもたちへの対応

 

 幼稚園・保育園の保育者のどの先生払障害のある子どもを、障害のない子どもたちがあたたかく仲間として受け入れてくれて、互いに助け合って育ってばしいと、統合保育の理念で願っています。けれど払現実の子どもの世界はなかなか教科書の理想通りにはいきません。まわりの子どもたちがだんだんに障害のある子どもから離れていってしまう、世話をやいていろいろお手伝いをしてくれるのだけれどまるで赤ちゃんやペットのように扱ってしまう、手をつなぐのを嫌がったり同じグループになるのを嫌がったり、また先生の目の届かないところでいじめることさえあるなど、現場の保育者の先生から相談を受けることがあります。これは現場で一番心を砕くむずかしい問題ではないでしょうか。どうしたら、まわりの子どもたちにその障害のある子どもの理解を促して、いっしょに楽しく育ち合っていくかを考えてみましょう。

 「どうしてOOちゃんは、お話しないの?」「どうしてみんなと同じお遊戯をしないの」「なぜお水で遊んでばかりいるの?」「ねえ、あの子赤ちゃんみたい」とはじめて障害児に接した子どもたちは正直に保育者に聞いてくるでしょう。自分や他の子どもだちとは違った特徴をもっている子どもを不思議に思ったり、興味深くしげしげと見たりするのは、子どもたちにとってみれば当然なことかもしれません。「~~ちゃん(障害のない子ども)は、高いブランコまだ上手にのれないよね。OOちゃんはことばがいまはよくわからなくて、上手に話せないんだよ。練習して少しずつお話できるようになるから、応援しようね。~~ちゃんも、ブランコ上子にのれるように、みんな応援しているよ」とわかりやすく、障害のある子どもについてたずねた子ども(~~ちゃん)やまわりの子どもたちに、その子どもの行動の特徴をわかりや子く説明することも大切です。基本は「~~ちゃんも、00ちゃんも、どの子どもも、どの人たちもみんな同じ人間どうし」という理念や姿勢をつねにもっておくことが大切です。

 障害のある子どもに対して、熱心な保育者ほど、きめ細かく対応して、ついつい甘やかしてしまい、その反面どうも健常のまわりの子どもには理解や子助けばかり要求して子げなく関わってしまがちです。子どもたちは「ずるいよ、○○ちゃんばかり抱っこして」「OOちゃんばかり、やらせてもらって」と保育者の不平等さに気がついて言ってきます。とくに保育園では、どの子どもも少しでも保育者と長く遊びたい、甘えたいという気持ちが強いのです。まわりの子どもたちの気持ちを受け止めることも忘れてはならないことです。

 障害のある子どもも、自分でできることは自分でさせるように保育者が導いていき、障害のある子どもだけに対応するのではなく、まわりの子どもが手伝ってくれたときは、おおいにほめて「ありがとう、子伝ってくれて。OOちゃん、助かったね」「でも、この次はOOちゃんが自分でやれるか、そばで見ていてね」と話していきます。障害のある子どもが一つずつ自分でできるようになったり、ことばを発するようになったり、お集まりのときに参加するようになったりするのを、まわりの子どもだちと保育者がいっしょに見守り、励まし、喜び合うことで、[僕たちみんな仲間だよ]という意識が育っていくでしょう。それには、保育者も前述のように「OOちゃんは、仕方がない」とあきらめないで、いけないことはいけないと教え、適切なとるべき行動を繰り返し教えていく、自分でできることは甘やかさないでやるように、自分でできることを増やしていくように対応していくことが、まわりの子どもたちの理解を促し、自分たちの仲間として受け入れていくようになっていくと思います。これが、「共に育つ」の統合保育の理念ではないでしょうか。