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発達促進的関わりのなかにある「癒し」

 

 保育実践において心理臨床上の問題が発生したとき、保育者のな子べき仕事のー一つが、その子どもをめぐる援助体制を作ることです。家族が一番の協力者なわけですが、前述の1や2あるいは3などの場合には、その自覚をもってもらうこと、問題に気づいてもらうこと、あるいは、保育者も協力者の一人であるということをわかってもらうことなど、体制づくりの下地を整えるまでが一大作業となります。

 また、子どもの問題をめぐる援助体制を整える目的からすると、他の専門家、とくに医療機関につなぐことは、とても重要なことですが、それにいたるまでのこのような[過程そのもの]に、心理臨床の大きな意義があると思います。保育園に心理臨床家が出向いて心理臨床実践を行うというときも、この過程を保育者と協同する作業が大きな位置を占めます。子どもの問題を治療という観点でのみとらえた場合、治療機関に訪れるまでは、いわばその子どもの問題が発見されるまでの生育歴としてひとくくりにされてしまいがちです。

 けれど払その子どもや家族が口常生活する場面にいて、保育者や教育者からの早期の援助的な関わりがなければ、専門的な治療を開始する機会がついに訪れないまま時が経過することもありえます。よりよく育てようという発達促進的関わりのなかに展開する、[心の悵しや成長]があります。このような関わりが保育における心理臨床の特質といえるでしょう。この過程における保育者の基本姿勢は、共に育つという保育の重要なキーワードに通じ、診断と治療を目的とする医行為とは異なる側面をもつと思われます。