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保育者の援助が孤立しないこと

 

 さて、日々の子どもたちの具体的な問題が訴えられている場合でも、結局家庭と園との問題に相談の焦点が移行してゆかざるをえないことが間々あります。子どもの発達になんらかの障害が疑われるなどの場合を除いて、子どもの心的状況は、家庭環境に大きく左右されますから、家庭の状況が相談のなかで取り上げられることが多いのは、当然のなりゆきです。

 保育者が行う心理臨床的な関わりの基本は、図4-1に示されるようなものとなるでしょう。

 保育者は、親と子それぞれに関わりながら、親と子の間にある矢印で示される関係を改善していくことになります。またそれぞれの矢印における現実の関わりを通して、子どもや親の内面的なもの(これを臨床心理学では、表象といい)、子なわちそれぞれの主観的な体験がどのように変化してくるのかをとらえていく必要があります。

 そしてさらに、子どもの発達をめぐる援助体制を充実させていきます。通常、園と他の専門機関が、園児と家族を飛び越えて連携をれるというよりも、家庭が主導となって、それぞれの専門機関で受けたケアが伝えられたり、また家族を通して園の様手を伝えてもらうことが多いようです。けれども園から発信して援助体制づくりを積極的に行うことを想定した場合に
は、専門機関を紹介することもあるでしょうし、そのためには地域の援助資源を把握しておくことが必要になります。この他に、経済的援助なども必要となるかもしれません。具体的な連携については、次章も参考にしてください。
 心理的な側面を支える援助と、社会的な側面を支える援助が必要なのです。この2つの過程は、援助を必要とする親子にとっては、重なり合って展開しますが、異なる次元の援助活動を担任一人で担うことは、とても困難です。

 ですから、保育における援助体制づくりの作業は、複数の援助者の協同作業が基本だといえます。これは、外部機関との連携とともに、一つの園の中についてもいえることです。

 気になる子どもを園全体でフォローする体制というのは、当たり前のことのようですが、ぎりぎりのマンパワーで運営されている園の保育体制の現実からすると、通常の保育で精一杯ということになりかねません。時どき、こういった現状を放置したまま、どんな子どもにも熱意をもって接するべし、といった
理想論に出くわしますが、無責任なことばだと思います。特別な配慮や関わりが必要とされる子どもの保育を担任一人で抱え続けるのでは、通常の責任の範囲と労力の負担を越えると思われますし、危険です。

 子どもにできるだけ寄り添って密な関わりをしようという合意が園でもたれたなら、直接保育に当たる担任とその他の保育者の役割、およびそれに必要な協力を話し合うことが人切です。その他の面で必要な援助は、担任以外の管理職が主となって動くようにすると、保育者も守られて、心理的な関わりにじっくり取り組むゆとりができます。