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思いきって赤ん坊になる

 

 「文章には意味があり,そのまま学ぶべきで,パーツに分けるべきではない。スピーカーとは言語活動においてactiveであってreactiveではない」と言う言語学者を登場させよう。「
言語を学ぶということは,比較的限られた能力の成長であり,成熟である」と喝破しさっそうと登場した,ノウム・チ。ムスキーだ。

 Noam Chomsky は,文法には, surface structure とdeep structure の2つの構造が重なりあっていると説く。

 たとえば母親と赤ん坊が言葉のやりとりをしていると,音声を通じその言葉の文法は自然に進化するというperformanceが,表面構造であり,それによりルール(a system of rule
s)やprepositionsや文章を作成したり,認識させる普遍的な法則(univcrsalsとしておこう)を含む,能力(competence)を深層構造と呼ぷ。

 チョムスキーによれば,予想だにしたこともない文章を生成し,理解することのできる,自然に備わった知性 や創造性がディープ・ストラクチャーだというのである。      
            。。
 私が知りたいのは,この点だけである。

 これまで前著を通じて私が速読,速書を勧めてきたのも,チョムスキーの呼ぶdeep structure の活性化に他ならないからである。

 もし,音戸によるコミュニケーシ三lンを通して,言語の表面構造は伸びるが, writingに比べ, speakingが創造性の開発につながらないとすれば,私のこれまでの言語努力と学説は水
泡に帰すばかりか,今こうして,意気込んで書いている本書の論理的基盤は崩れ去ることになる。

 私の英語実践哲学は,英語を日本語と同じく一言語と位置づけ,できるだけ赤ん坊という原点に戻ることである。「できるだけ」というのは,読者のほとんどは今置かれている立場上
,恥はかけないし,リスクもとれないし,創造性も生まれない状況下にあり原点に戻れないからである。

『上級をめざす英会話』松本道弘著より