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情動的な言葉

 


以上述べた言語野は新皮質にあるから、当然、知的な言葉の座と考えられる。 すると、情動的な言葉の座はとこにあるのだろうか。大脳辺縁系の皮質部分や、それと関係をもった脳幹
の部位を刺激すると、発声がおこることが動物実験でたしかめられているから、おそらく、情動的な言葉の座は、情動の心が形成される大脳辺縁系にあるだろうと 想定される。

 言語野がひどくこわれた失語症の患者でも、情動に結びついた言葉はだすことができるといわれている。このことは、情動的な言葉の仕組みが、大脳辺縁系で営まれているという想定
を支持するであろう。

 さきに述べたように、私たちが話す言葉を、一応、知的な言葉と情動的な言葉とに区別した。しかし、数学理論を考えたり、論理学を論ずるときは別として、日常の言葉のやりとりに
は、二つの言葉をはっきり区別することはできない。知的な言葉の背景には、必ず情動的な言葉があるはすである。けだし、人間行動の一つの表現形式である言葉が、普遍的なシンボル
としてだけではなく、話す人の個性によって濃く彩られているのは当然のことである。

 言葉の具体的本質は、ロゴス的契機とパトス的契機が立体的に統介されたものであるという、言語学者の発言の意味もここにあるのだろう。