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夢の仕組み

 

 白昼夢ということがあるが、普通、夢は眠りのなかの精神現象である。そのために、夢にまつわる議論ははてしがない。

 サン・ドウニのように、眠りには、必ず夢が伴なうと主張する人心あれば、ローマの暴君ネロのように、自分は一度も夢をみたことがないというものもいる。夢は浅い眠りのときであ
って、目をさまそうとする瞬間にみるという人もいれば、夢は深い眠りのときにみるのだと反駁するもの心いる。

 夢の内容が、時間、空間を超越した、非論理的、非社会的な性質が強いことは、一般にみとめられているところである。しかし、その原因になると。過去の体験や印象が、なにかの刺
激によってよびさまされたものだともいい、フロイトの主張するように、心の奥底にある願望や欲求が代償的にかなえられるものが夢であるともいう。特に、フロイトは、性的欲求を夢
の原因として強調している。

 夢は、普通、みるというが、夢で音をきくこともあるし、味や臭いや皮膚の感覚があらわれることもある。しかし、人間は視覚動物のせいか、みるのが一番多く、きく夢の一倍半であ
る。

 ところで、クライトマンは、脳波が賦活睡眠のパタンをだし、不規則な眼球運動かおこっているときに、その人をゆりおこして、夢をみていたかどうかたずねたら。八〇%はそうだと
いい、賦活睡眠のときでない、深い眠りのときに、同じようにきいてみたら、夢をみていたといったのは、わずか七%であったという。

 クライトマンは、この調査から、賦活睡眠は夢をみているときであると主張している。もしそうだとすると、すべての人は、毎夜二、三時間は夢をみていることになる。熟睡すれば、
四、五時間で眠りたりると考えられているから、夢みる二、三時間をあわせだ七、八時聞か私たちの平均の眠りの時間になっているのかも知れない。

 それでは、夢は、脳のどんな仕組みによっておこっているか。クライトマンの主張をみとめるとすれば、古皮質の海馬がいちじるしい徐波をだしているから、すくなくとも、大脳辺縁
系の活動の水準が高まっている状態のように考えられる。夢が、過去の印象の再現であり、海馬が記銘の場であることを思いあわせると、いっそうそのように考えられる。

 眠っている人に、音や光の刺激を与えて、それに関連した夢を人工的に作りだした実験かおるが、内臓からのイングルスの方が、夢みる原因になることが多い。大脳辺縁系の活動水準
が、内臓からのインプルスによって大幅に左右されている事実から考えても、当然ありうることである。