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修飾語と被修飾語の関係がはっきりしない

 

 文章が読みにくくなる原因は、主語述語の関連問題以外にもある。しばしば生じる問題は、修飾語の対象が捉えにくいことだ。これも、複文の場合によく起こる問題だ。ただし、複文でなくとも起こる。

 つぎの表現は、八つの異なる意味に解釈できる。

 「黒い目のきれいな女のす」

 このように修飾語が多数ある場合には、つぎの原則に従うべきだ。

(1)修飾語は被修飾語の直前におく。

(2)長い修飾語を前に出す。

(3)必要に応じて句を読点(、)で区切る。

 原則(1)によれば、「黒い」は、「目」にかかるものと解釈される。

 もし著者の意図が「す」を修飾したいのだとすれば、「黒い」と「す」を例文のように離すべきではなく、「目のきれいな黒い女のす」とすべきだろう。この書き方は、原則(2)にも従って卜る(ただし、「女のす」なのか「黒い女」なのかは、依然としてわからない。

 あるいは、原則ここに従って、「黒い、目のきれいな女のす」とすべきである(この書き方でも、「女のす」なのか「目のきれいな女」なのかはわからない)。

 なお、原則(3)は、しばしば非常に重要である。例えば、(A)「例文のように、離すべきではない」と、(B)「例文のように離すべきではない」とは意味が違う。念をいれるなら、(B)は「例文のように離すべきでは、ない」だが、こう書くよりは、「例文のように離すことは、避けるべきだ」のようにするのがよい。

長文章法:野口悠紀雄著より