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M.D.は日本とアメリカで異なる

 

    日本では高校を卒業すると、大学の医学部に入学できる。医学部入学者には浪人が多いので、入学者の平均年齢は多分19歳ぐらいだと思う。入学後6年で卒業し国家試験をパスして医師免許がもらえる この医師免許の資格を英語で言うとMedical Licenseである。

 一方、アメリカでは、医者になるには医学研究科の大学院に入るしかなく、医学研究科入学には学士号が必要である。つより、アメリカの大学には医学部はなくて、全部、医学研究科である。たいていの学生は生物系や化学系の学部を4年で卒業し、医学研究科の大学院に入学する。例えば、テキサス州ヒューストンにある私立大学の医科大学の案内書をみると、平均入学年齢は23歳とある。カリフォルニア州にあるスタンフォード大学医学研究科の案内書では24歳とある。ちなみに女子学生の割合は前者が4」%、後者が46%とある。

 友人のケンの話では、大学院医学研究科入学後5~6年で医師の資格(Medical Doctor)がとれる。研究博士号(Ph。D。:ピーエッチディと読む)も同時
にとるなら6~8年は必要で、友人のケンはスタンフォード大学のM.D.とPh。D。を6年でとったという優秀な人である。

 ベイラ一医科大学の案内書には、単独なら4年, Ph。単独なら6年、両方を同時にとるなら7年、と書いてある。ケンの話などからこれは多分、最短年数を示したのであって、実際はもっとかかりそうである。

 さて、上記のように日本のM.D.とアメリカのM.D.は教育修得のレベルが異なる。文部省・学術振興会ワシントン研究連絡センターの菊池所長とお会いしたとき、この違いがアメリカに留学しようとする日本の医学部出身者に問題を引き起こすことがあるというお話を伺った。アメリカ側がM。0。と考えるのは大学卒業後、医学研究科大学院で5~6年の臨床医学教育を終了した人である。ところが、日本のM。D。は、いわば、<大学学部+2年>卒のレベルであって、大学院卒のレベルではない。だからして、日本の大学医学部出身者がアメリカにポスドクとして「バイオ」研究をしに行く資格は、日本の医学博士号を取得したレベル(アメリカのPh。D。)と考えておいたほうがいいそうだ、そういうこともあって、 , Ph。D。を日本語では研究博士と翻訳している。そして、M.D.を医学博士と訳さないことにしたが、ハテサテ何と訳していいものだか、と思っていたら、大阪大学医学部卒の医師である岩崎幹季氏は単に[医師]と訳していた。

 なお、この日米M。D。格差問題は、日本の理・農・工・薬などの学部出身者には問題にならない。医・歯・獣医などの出身者だけに生じる問題である。

『不肖ハクラク』より