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マイクロRNAは骨と軟骨の形成を調節

概要
低分子クラスの非コード1本鎖RNAであるマイクロRNA(miRNA)は、標的遺伝子の特定配列に結合して転写後の遺伝子発現を調節するため、生物の発生と疾患発現の重要な調節因子として認識されている。また、miRNAの中には骨芽細胞や破骨細胞、または軟骨細胞の増殖と分化を調節し、最終的に代謝と骨形成に影響を及ぼすものがあるため、代謝性骨疾患と骨損傷の臨床治療における遺伝子療法は、その潜在的な標的がmiRNAによって明らかになると期待されている。本稿では特に骨および軟骨形成のmiRNA介在制御メカニズムに重点を置き、骨生物学分野のmiRNA制御に関する最近の研究動向を取り上げた。
1. 序論
臨床的トラウマ[clinical trauma]や癌、骨粗しょう症または骨関節炎などの疾患が原因で多くの患者が、損傷した骨の支持や疾患の悪化をもたらす偽関節と骨減少および欠損に直面していることが、臨床観察によって明らかとなった。これらの疾患を治療および予防する上での重要課題は、骨化と骨形成を促進させるために骨芽細胞をどのように作り出すかである[1]。長さ18-22ntの低分子クラス非コード1本鎖RNAであるマイクロRNA(miRNA)は、転写後の遺伝子発現制御による細胞増殖または分化などの調節を通して、細胞の成長に影響を与えており[2]、その上、ヒト筋骨格系では多くのシグナル伝達経路で正因子と負因子の両方の作用を及ぼすことができる[3]。また、骨芽細胞や軟骨細胞の分化、骨吸収と骨形成間のバランス保持、および軟骨内骨化などにおいて、miRNAは骨生物学的に重要な役割を果たすことが研究によって明らかとなっている[4]。
2. 骨形成および吸収間のバランスと転写制御
骨内の骨芽細胞と破骨細胞、軟骨内の軟骨細胞という特定の3つの細胞タイプが骨格のパターン形成に関わっており、骨の代謝が骨吸収および形成間の動的バランスを維持する。骨芽細胞は多能性の間葉系幹細胞(MSC)から分化したものであり、細胞外マトリックス(ECM)の産生と石灰化において重要な役割を果たすと同時に[5]、破骨細胞の分化調節にも関与している。手足や胴または頭蓋骨などにおける形成初期の骨[embryonic bone]は、そのほとんどが主に軟骨内骨化によって形作られたものであり、この骨化様式は軟骨の継続的な成長および分解と、骨組織による一定の軟骨組織置換を伴うものである。現在では骨形成と骨芽細胞分化に不可欠なRunx2やCbfβなど、骨格の発達過程における数多くの重要な転写因子が確認されている[6]。転写因子SoxファミリーのメンバーであるSox9とL-Sox5、およびSox6は軟骨細胞への分化に必要であり、さらに間葉細胞凝集から軟骨細胞肥大化の終了に至る軟骨形成の全過程を通して発現を維持する。Sox9は胚段階において軟骨形成細胞の生存を確保し、Col2a1と他の早期軟骨マーカー遺伝子を活性化する[7]。

骨格発達とホメオスタシス、および再生に不可欠な骨吸収細胞である破骨細胞は、単球/マクロファージ系の造血前駆細胞から分化したものであり、転写因子PU.1は破骨細胞の早期生成を促進させる。破骨細胞への分化で重要となるもう一つのシグナル伝達経路は、下流のM-CSF/c-fmsとRANKL/RANKに位置するMITFやTFE3などのさまざまな主要転写因子に関与しており、これらの転写因子は単球系破骨前駆細胞の多核化に必要不可欠である[8]。
3. miRNAとその生物学的機能
miRNAは最初にRNAポリメラーゼⅡが転写し、リボヌクレアーゼⅢの酵素ファミリーが最終的に切断した後、ダイサーがmiRNA前駆体から成熟miRNAへと変換する。RISC-miRNA複合体は、RNA誘導型サイレンシング複合体(RISK)へ2本鎖の成熟miRNAを一つ加えたものである。相補的な3'非翻訳領域(3'UTR)への選択的な結合を通して遺伝子発現を抑制するmiRNAは[9]、同定済みのもののほとんどが生物種間で高度に保存されており、その発現は組織および細胞特異性だけでなく時空特異性も有している。そのため、miRNAは主に細胞の増殖や分化およびアポトーシスに関与し、動物の発育やホメオスタシス、骨代謝などのさまざまなプロセスに影響を及ぼす[10、11]。いくつかのmiRNAはヒト筋骨格系の形成に直接関わっているため、骨粗しょう症や骨損傷などの筋骨格疾患の予防と治療に関しては、miRNAがその研究対象になる可能性が高い。