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血液-脳関門

 

 メスレンブル、のような色素を動物に注射すると、脳膜や血管の内壁は色素でそまるが、脳の実質(神経細胞やグリア細胞)はまったくそまらない。このように、脳の血管にはいった物質は、すべて脳の実質にはいるというわけではなく、血液から脳にはいるには。物質によって難易がある。もっとも、血液からはいりにくい物質でも、脳脊髄液にいれてやると、たやすく脳の実質にはいる。しかし、脳脊髄液と脳との間の物質のうけわたしは、脳の代謝にとっては重要でない。

 脳にはいりにくい物質は、色素のほかに、乳酸、アミノ酸、燐酸のような陰イオン、K中心のような陽イオンなどである。これに対して、はいりやすい物質は、ブドウ糖、酸素や炭酸ガス一酸化炭素のようなガス、アルコール、アルカロイド向精神薬などである。

 このように、物質によって脳へはいる難易さのあることを、血液-脳関門の現象という。そして、この仕組みは、脳の毛細血管をとりかこみ、神経細胞へ血液から物質のうけわたしをしているグリア細胞の働きによって行なわれているのである。

 血液‘脳関門の存在は、内部環境の場において、脳は内臓器官や筋肉なとがら独立してその働きを営んでいることを示しているわけである。そして、この関門は脳を保護する防波堤として振舞い、また一方では。脳の代謝水準、従って脳の働きのある面をある範囲内に規定しているというきわめて重要な働きもしているといえよう。

 なお、この関門は胎児の脳ではほとんどできておらず、出生後になって急にできるという。脳の働きに対する血液‐脳関門の意義とその重要性を如実に物語っている。