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言語明瞭、意味不明瞭

 

 個々の文の意味はわかるのだが、文と文がどのような論理関係でつながっているのか、がわからない場合も多い。

 突然別の話題が出て来て、前の記述とどうつながっているのかわからない。いくら読み進んでも、何を主張したいのか、がわからない。読み進むほどに頭が混乱し、いらだってくる。「言語明瞭、意味不明瞭」というものの大部分は、これであろう。

 これは日本語という言語の宿命ではない。実際、単文主義を貫徹したところで、なくならない。「意味不明瞭問題」が発生する原因は、著者の頭が混乱していることだ。具体的には、つぎのとおりである。

 (I)思いつくままに書いているので、論理関係が整理されていなかったり、曖昧であったりする。前提が明示されておらず、そのため、結論はある特殊な場合にしか成り立だないものであったりする。ひどい場合には、著者自身が、論理関係を正確に把握していない。

 (2)前提や論理のつながりが本人にとっては自明なので、省略してしまう。このため、論理が飛躍する。読み手の立場からすると、なぜ結論が導かれるのかが、わからない。

 (3)批判されるのが恐ろしいので、言い訳をする。あるいは、些細なことばかり強調する。このため、主張点がどこにあるのかがわからない。

 著者は、ますもって主張の論理構造を明確に把握し、それを明快な文章で示してほしい。

  * あるいは、著者はきわめて頭脳明晰であり、5で述べるような悪文を意識的に書こうとしているのである。

長文章法:野口悠紀雄著より