ポスドクの年収

 

 ケンの住むベセスダはワシントンD.C.の中心から地下鉄で30分ぐらいのところにある 日本でいえば、杉並区あたりに住んでいることになる。東京とはどえらい差である。
ワシントンDC郊外は驚くほど緑が多い。野生動物もまだまだたくさん棲んでいるのだ。

 室内に戻って、ケンは、くつろいだ雰囲気で次のように話し始めた、

 「日本の学術振興会がNIHに援助をしてくれる制度は本当にいい」、とケン。

 「2年前から始まったポスドク(博士号取得後の2~4年の研究員)制度ですね」、と 。

 「そうだ。 NIHに毎年約160人のポスドクが日本からやって来るけど、その滞在費と研究費は全部アメリカ政府が出しているんだ。今度、日本の学術振興会が日本人研究者を
16人とか30人とかサポートするようになったんだよ。この人数は、結構な数だよ。これからも続けてくれるっていうけど、1年間の滞在費として、1人につき3万4000
ドル払っているから、30人だと100万ドルだね。結構大きな支援だね]、と日本政府の援助をいいことだと評価している。