読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

短波放送による海外旅行

 

 海外旅行がごく身近な時代になった。すでに国民の5人のうち1人が外国旅行を経験したとのこと。ますますこの傾向は強まると思われるが、ここでは自宅で居ながらにして楽しめるユニークな海外への旅をご紹介したい。それはBCL。短波放送の受信できるラジオが1台あれば準備はすべて完了だ。

 出発は夜の9時。ダイアノレの目盛りを短波の9740kHzに合わせてみる。“This is London.”にちらはロンドン)のアナウンスにつづいて流れてくるのは、イギリスBBCの海外向け英語放送である。歯切れのよいクィーンズ・イングリッシュ! 公正な報道でその名も高い“WorldNews”(世界のニュース)では、アナウンサーの息づかいまで聞きとれる。“New Ideas” (ニューアイデア)や評判のポップスを紹介する“Mulitrack”(マノレチトラック)など、イギリス標準英語の代名詞、「BBCイングリッシュ」の美しさはまた格別である。

 聞き物としては月曜日の9時15分から放送される“Brain of Britain” (イギリスの頭脳)をあげておきたい。国内放送の長寿番組の1つで、聴取者が参加して一般的な知識を競うクイズショー。クイズを楽しみながら英語表現の涵養に役に立つ。

 日曜日の“Play of the Week” (今週の演劇)では、シェイクスピアから現代にいたる名作ドラマが放送される。こうした演劇や音楽など本場の香りを伝える番組を聞いていると、すでに気分はロンドンのホテル住まいといったところ。

 9時半からは大西洋を越えて新大陸のアメリカへ。ダイアノレを9760kHzのVOAに移動しよう。一転してダイナミックなアメリカ英語が耳を打つ。「ネットワーク・イングリッシュ」(Network English)と呼ばれる標準的なアメリカ英語が快い。

 VOAはThe Voice of America (アメリカの声)の略。VOA憲章によれば、VOAは「アメリカの中枢的な思想」を反映させ、「アメリカ合衆国の政策」を示すと規定されている。アメリカの主導的な立場を知るには格好のニュース源であるが、午後9時30分からの放送では肩のこらない気軽な番組が楽しめる。

 月曜日から金曜日までぱMagazine Show”(ラジオマガジン)がクリアーな音声で受信できる。雑誌にはグラビア、特集記事、解説、スポーツ、音楽の紹介記事などもりだくさんの構成があるが、この番組はいわば電波で構成する「雑誌」。とくに音楽、映画、書物などの最新の情報はありがたい。ジャズエ1ンサートのさわりや新作映画の音の予告編はVOAの独壇場である。『将軍』で空前のベストセラー作家となったジェイムズ・クラベルの新作、『外人』(Gmjin)もこの番組でインタビューをまじえていち早く紹介された。日曜日の“Studio One”(第1スタジオ)は、歴史的な事件にナレーションをつけてドラマ化した番組である。

 時間帯によっては、Special English (特別英語)による番組を聞くことができる。「スペシャル・イングリッシュ」いよ語彙を基本的なものにしぼりこみ、スピードも1分に100語程度におさえた、初心者にもわかりやすい英語をさす。英語の自信をつけるためにも耳を傾けてみたい。

『英語表現を磨く』豊田昌倫著より