こだわり(同一性の保持)

 

 自閉症・広汎性発達障害の子どもは同一性保持という特徴的症状をもっています。自分かやりたいことをし続けてしまい、なかなか言われたことやしなければならないことに転換することがむずかしいことがあります。自分が納得するまでやって、それから次の行動に移る場合もありますが、・保育園や幼稚園の集団場面の中では、ずっとその活動をさせるわけにはいきません。時間を区切って、「この時計の針が6になったら(10分経ったら)やめて、00をやろうね」と止める時間を見せたり、「ブーと鳴ったらやめようね」とタイマーを使ってみるのも効果的です。次にやることを明確に示してあげることは、 (1)や(2)で述べた通りです。

 どの子どもの場合でも、集団活動への参加の促し方の基本としては、前述のようにいきなり集団の中にいれることを目的とせ子、1対1の関係を大切にして、それから少し寸つグループに参加させることを考えてください。ます保育者と子どもの信頼関係を確立することが必要です。子どもをつねに保育者の視覚の中に入れ、実際にはその手を追いかけ子、目で動きを追うようにしてください。集団の動きに興味を示し、入りたいというようなちょっとした動きを示し、少し寸つ集団の輪に自分から近づいてくるようになりますので、注意深く見る必要があります。集団に入れるタイミングをみることが大切です。

 集団活動のかがでも行事への参加は、いつも保育者たちが苦労するところです。運動会、夕涼み会、学芸会、卒業式、お泊まり保育など、いつもとまったく違った活動はこのような発達に問題のある子どもたちには参加しにくい、不安ばかりが強まってしまうほどの、緊張する活動です。とくに運動会はあの大勢の人がいる場所、ピストルや大音量の音楽、お遊戯や組体操、かけっこなどの競技の連続などなど、運動会の2か月前から練習が始まり緊張は続きます。この時期、これらの発達障害の子どもは登圉をしぶったり、腹痛を訴えたり、泣くことが多くなったり、友だちとのトラブルが多くなったりします。また、母親たちも[うまくやれるかしら]など緊張し、家庭でも子どもは緊張感にさらされ休まることが少ないことも多いようです。子どもが不安を感じないように信頼できる介助の先生をしっかりつけるなどの援助が必要です。しかし。あまりにも運動会など行事そのものが、子どもや保護者の緊張感や不安を高めるようでしたら、かけっこだけ参加するなど、子どもが嫌がらない程度の参加を促し、校庭の隅で介助の先生とみているなどの臨機応変の対応が必要です。無理に運動会や行事参加を強いることはしない方がよいでしょう。